近年、自動音声電話(ロボコール)を利用した着信が増加し、時間帯かまわず掛かってくるため多くの人が「迷惑電話」として話題に上げています。
そんな自動音声電話に関しては、インターネット上で「出ると危険」という口コミが度々出ていますが、実際のところどうなのでしょう?
ここでは、自動音声電話に出た時に懸念される5つのリスクの考察と、掛かってきた場合の対策方法について詳しく解説していきます。
自動音声電話に出る危険性・リスク5選

まずは、自動音声電話に応答することによって想定される主要な5つのリスクについて見ていきます。
自動音声電話の危険性として考えられるものとして、以下のような項目があります。
自動音声電話に出ることで想定される5つのリスク
- 個人情報を盗まれるリスク
- 音声を悪用されるリスク
- 電話番号の有効性を確認されるリスク
- フィッシング詐欺・架空請求のリスク
- 心理的ストレスを抱えるリスク
個人情報を盗まれるリスク
昨今では、私達の大切な個人情報を聞き出すため、
自動音声電話が利用されるというケースが増えています。
相手は、自動音声で声色を一定にし、
素性を分からないようにしたうえで
性別や年齢、職業、家族構成、年収などを
私達から上手く聞き出そうとしてきます。
そして、聞き出した個人情報を
営業活動や詐欺などに利用しようと
目論んでいる場合があるため注意が必要です。
特に目立っているのが、
クレジットカード情報を盗み出そうとする自動音声です。
銀行やクレジットカード会社を名乗り
「あなたの口座が不正利用されています」
「未払いの請求があります」
などと伝え、個人情報やクレジットカード情報を
本人の口から聞き出そうとする手口となります。
また、宅配業者を装った音声電話もあり
「お荷物の配送に問題があります。確認のために情報を入力してください」
とアナウンスされることもあります。
このような電話に対応してしまうと、あなたの大切な個人情報を得体の知れない人物や団体に盗まれてしまったり、お金をむしり取るために設置されたフィッシングサイトに誘導されたりする危険があります。
音声を悪用されるリスク
最近の技術では、AIを使って
人の声を合成することが可能になっています。
そのため、自動音声電話に出て「はい」「いいえ」といった簡単な返答をしてしまうだけでも危険で、それを録音されて不正な契約の証拠として利用されるリスクがあります。
例えば、電話の相手が「この契約を承認しますか?」と問いかけ、「はい」と答えてしまうと、その録音を利用して「本人の同意があった」と主張される可能性があります。
電話番号の有効性を確認されるリスク
営業活動を実施している業者や詐欺グループは、無作為に電話をかけ、応答があった番号を「実際に使われている」と判断し、リスト化します。
このリストは、迷惑電話業者や詐欺師の間で売買されることがあり、一度出てしまうと今後さらに迷惑電話が増える可能性があります。
- 高額な電話料金が発生するリスク
自動音声電話の中には、「重要なお知らせがありますので、折り返しお電話ください」と指示するものがあります。しかし、その指示された番号が海外のプレミアム番号(特殊料金が発生する番号)だった場合、高額な通話料金が請求される可能性があります。
また、何らかの方法でこちらの電話を特定の有料番号に接続し、料金を発生させるケースもあります。
フィッシング詐欺・架空請求のリスク
最近では、自動音声案内で
「詳しくはSMSで送信されたリンクをクリックしてください」
と誘導するケースも増えています。
このようなリンクを不用意に開くと、ウイルスに感染したり、個人情報が盗まれたりする危険があります。
また、フィッシング詐欺の一環として、本物そっくりの偽サイトに誘導され、そこでIDやパスワードを入力してしまうと、アカウントが乗っ取られるリスクがあります。
心理的ストレスを抱えるリスク
詐欺電話の中には、恐怖や不安を煽る手口もあります。
電話口から無機質な自動音声によって流れてくる
「このままでは法的措置を取ります」
「すぐに対応しないと口座が凍結されます」
といったメッセージを聞くと、冷静な判断ができなくなる人も多いでしょう。
中でも、高齢者やITに詳しくない人は、こうした脅しに引っかかりやすい傾向にあり、詐欺に巻き込まれるケースが多発しています。
自動音声電話の実例

世論調査を称するアンケート
選挙が近くなると、大量に掛かってくるのが
「自動音声電話を使用した世論調査アンケート」です。
政治や経済、社会問題などに対する世論の意見を収集する目的で行われ、無作為に選ばれた電話番号に発信されることが多くあります。
電話を取ると、あらかじめ録音された音声に従って質問が読み上げられ、電話を受けた人がプッシュボタンで回答する仕組みの調査方法となります。
短時間で多くの人に調査を行えるという利点がある一方で、突然の電話に戸惑う人や、詐欺や営業と誤解する人も少なくありません。
また、電話番号がどこで取得されたのか分からず、不安を感じるケースもあります。
電力アンケート
自動音声を使用した「電力系アンケート」も最近は増えています。
「電力削減」や「電力料金」に関するアンケートと称し、電話を受けると自動音声が流れ、いくつかの質問に対してプッシュボタンで回答する形式が一般的です。
効率よく多くの世帯から情報を集める手段として活用されていますが、突然の電話に戸惑う人や、勧誘や詐欺ではないかと警戒する人も少なくありません。
もし正規のアンケートであるならば、電力会社のホームページで大々的にお知らせされているはずですが、そうでは無い「電力会社を騙る何者か」が発信している可能性もあるので注意が必要です。
不審に思った場合は、発信元の電話番号を確認したり、電力会社の公式サイトなどで情報を調べることが大切です。
必要以上の情報を答えず、安心できる場合のみ対応するよう心がけましょう。
総務省を名乗る「電話が使えなくなる」という音声
最近報告されている詐欺電話の一つに、総務省を名乗る自動音声によるものがあります。
内容は「このままでは電話が使えなくなります」などと不安をあおるもので、指示に従ってプッシュボタンを押すよう誘導されるケースが報告されています。
これは、個人情報や金銭を騙し取ることを目的とした詐欺の一種であり、実際に総務省がこのような電話を発信することはありません。
公式な行政機関が、自動音声で電話の利用停止を通告することはなく、こうした内容は明らかに不自然です。
このような電話を受けた場合は、指示に従わずすぐに電話を切るのが賢明です。
中国語で「入国管理局」を名乗る自動音声電話
中国語で「入国管理局」を名乗る不審な自動音声電話は、在日中国人を中心に多数報告されている詐欺の手口です。
電話を受けると、中国語で
「あなたの在留資格に問題がある」
「重要な書類が未提出」
などと告げられ、問題解決のために番号を押すよう促されます。
これは実在する機関を装って不安をあおり、最終的に個人情報や金銭を騙し取ろうとするものです。
日本の出入国在留管理庁(旧・入国管理局)が、このような自動音声で連絡を行うことはありません。
公的機関からの重要な連絡は、書面や直接の通知で行われるのが通常です。
このような電話がかかってきた場合は、指示に従わずすぐに切るようにしましょう。
健康アンケート
たまに自動音声を使った「健康に関するアンケート」の電話が大量に発信されることがあります。
これは、健康意識や生活習慣、医療サービスの利用状況などを調査する目的で、一般企業やリサーチ会社が実施していることが多くなっています。
主な内容としては
「健康状態についていくつかお伺いします」
「特定の病気に関心がありますか」
などといった質問を電話機のプッシュボタンで回答する形式になっています。
但し、中には健康に関する情報を聞き出し、後に健康食品やサプリメントの販売につなげる「営業の下調べ」が目的のものも存在するため、注意しましょう。
不審に感じた場合は、無理に対応せずすぐに電話を切ってしまうのが得策です。
助成金アンケート
自動音声を使った助成金アンケートは、企業や団体が自動音声電話の発信システムを利用し、助成金に関する情報提供やアンケート調査を行う仕組みです。
電話を取ると、録音された音声が一方的に流れ、助成金制度の概要や申請条件を説明しつつ
「該当する方は◯番を押してください」
といった形式で応答を促します。
近年、こうした手法を悪用した詐欺も報告されており、「助成金が受け取れる」として個人情報や企業の機密情報を
聞き出そうとするケースも存在するため、注意が必要となります。
信頼できる機関からの連絡であるかを確認し、怪しいと感じた場合は応答せずに切ることも大切です。
自動音声電話のリスクを回避するための対策
自動音声電話のリスクを回避するための対策
- 知らない番号には出ない。
- 自動音声の場合はすぐに切る
- 「はい」や「いいえ」と答えない
- 個人情報を伝えない
- 公式の情報を確認する
- 迷惑電話のブロック機能の活用
知らない番号からの電話には出ない
知らない番号からの電話に出ないことは、詐欺や不正な情報取得から身を守るための有効なリスク対策となります。
近年、詐欺グループが自動音声や偽の公的機関を装った電話をかけ、個人情報や金銭をだまし取ろうとする事例が増えています。
知らない番号に出ることで、得体の知れない相手に「現在も電話が繋がる番号」と自ら教えることになり、自宅の電話番号やご自身の携帯電話番号を危険な状態に晒してしまうことにも繫がります。
そうなってしまうと、今後さらに多くの迷惑電話を受ける可能性も考えられます。
また、不意に出た電話で冷静さを欠き、個人情報などの機密情報をうっかり口に出してしまったり、判断をしてしまうというリスクもあります。
電話に出ないことで、これらのリスクを全て避けることができますので、ぜひ実施してみてください。
自動音声の場合はすぐに切る
自動音声電話に出てしまった場合でも、すぐに切ることも重要です。
これにより、個人情報の漏えいを防ぐことができます。
自動音声は巧みに誘導し、「はい」や「いいえ」などの簡単な返答を録音して悪用するケースもあります。無言や早めの通話終了により、そうしたリスクを回避できます。
第二に、「つながる番号」として認識されにくくなることです。長時間応答すると、その番号がアクティブであると判断され、今後さらに多くの迷惑電話や詐欺のターゲットにされる可能性があります。
また、第三に、精神的なストレスや混乱を防ぐこともメリットです。詐欺的な内容は不安を煽ることが多く、慌てて誤った判断をしてしまう恐れがあります。すぐに切れば、冷静な判断を保ちやすくなります。
つまり、出てしまったとしても、深く関わらず、すぐに切ることで、自分の安全を守ることができるのです。
「はい」や「いいえ」と答えない
自動音声電話に対して「はい」や「いいえ」と答えないことで、音声データの悪用リスクを回避することができます。
詐欺グループの中には、会話の中で録音した「はい」という返答を切り取り、契約の同意や本人確認に使ったと主張するケースがあります。
特に「〇〇の契約に同意されますか?」といった問いかけに対して無意識に「はい」と答えてしまうと、後々トラブルに巻き込まれる可能性があります。
また、「はい」「いいえ」といった単純な応答だけでも、その番号が人の応答可能な番号だと判断され、リストに登録されてしまい、今後さらに多くの迷惑電話がかかってくることもあります。
そのため、不審な自動音声には答えず、即座に電話を切るか無言で対応することで、被害や情報漏えいを未然に防ぐことができます。
個人情報を伝えない
自動音声電話に個人情報を伝えないことは、詐欺や個人情報の悪用といった深刻なリスクの回避につながります。
近年では、自動音声を使って公的機関や有名企業を装い、名前や住所、電話番号、生年月日、口座情報などを聞き出そうとする詐欺が増えています。
こうした情報が一度漏れてしまうと、なりすましによる不正契約や銀行口座の乗っ取り、さらには他の詐欺への悪用など、さまざまな二次被害につながる恐れがあります。
また、自動音声で得た情報をもとに、より巧妙な手口で再度連絡をしてくることもあります。
つまり、個人情報を話すことで、相手に自分の情報を与えるだけでなく、今後の攻撃の対象としてマークされる可能性が高まるのです。
そのため、自動音声であっても、相手の正体が不明な場合は一切情報を伝えず、速やかに通話を終了することが大切です。
公式の情報を確認する
世論調査アンケートや公的機関を名乗った自動音声などの場合は、該当する企業や団体の公式情報をチェックして、本物から発信されている自動音声電話なのか確認することも重要です。
最近は、警察や国税庁などの公的機関を騙ったり、大手企業を騙ったりと自動音声電話を使用した「なりすまし」のバリエーションが多くなっていますので、名前だけ聞いて「本物だ」と判断するのは危険です。
公的機関や大手企業を名乗っているからこそ、より一層注意深く「疑い」の目を向け、本当にそうなのかといった裏付けを行うことが必要になります。
少しでも違和感を感じる部分があれば、直接公式ホームページにアクセスするか公式の電話窓口まで連絡を行い、真相を追求することをお勧めします。
迷惑電話のブロック機能の活用
スマートフォンや固定電話には、迷惑電話を防ぐための「ブロック機能」が標準で備わっていることが多く、この機能を活用することで、不要なストレスや時間の浪費を防ぐことができます。
特定の番号からの着信を自動的に拒否する機能はもちろん、着信時に「迷惑電話の可能性があります」と警告を表示してくれるサービスもあります。
さらに、携帯キャリアやアプリを通じて提供される迷惑電話対策サービスを併用すれば、より精度の高いブロックが可能です。
こうした機能は、自分で登録した番号だけでなく、他の利用者からの報告をもとに迷惑電話と判断された番号も対象にできるため、営業電話や詐欺まがいの勧誘を受けるリスクを大きく下げてくれます。
迷惑電話に悩まされている方は、一度スマホの設定や利用中の通信会社のサービスを確認し、積極的にブロック機能を活用することをおすすめします。
まとめ:自動音声電話のリスクを回避するために
自動音声電話は、発信元にとっては便利で都合の良いものかも知れませんが、それが悪用されるケースも最近目立ってきているため注意が必要です。
IP電話やフリーダイヤル、市外局番や携帯電話番号といった、あらゆる種類の電話番号を使っているので、電話番号の種類を見て自動音声電話を判別することは基本的に困難です。
うっかり出てしまうと、その時の音声が録音されていたり、個人情報に繋がるデータを巧みに収集されたりするリスクがあるため、日頃から気を付ける必要があります。
このようなリスクを回避する方法として、知らない電話番号からの着信は電話を取らず「インターネット検索」を活用し、出るかどうか判断することをオススメしています。
当サイトでは、自動音声電話の番号も調査対象として多数取り扱い、出るとリスクがあるかどうかについてもお伝えしていきますので、今後もぜひチェックして頂ければと思います。